1916年(大正5年)郷里の青少年のために北里(御年63歳)が自腹で作った図書館。当時、熊本県では県立図書館に次ぐ規模。蔵書数は最盛期で1500越え。場所で言えば田舎の方ですが、にも関わらずこれだけの物を作ると決めたのはさすがだと思います。
建物としてはそう大きくはありませんが、なかなか凝った作りだそうです。(詳しく無いので^^;そこら辺は省略)
昨今の箱物のようにただ作っただけとはならず、利用者の事を考えたバラエティーに富んだ蔵書ラインナップにしている。(閲覧こそできないが一部は書庫にて実物展示、一部は文庫でデジタルアーカイブ閲覧可能)
専門の感染症関係の雑誌があるのはさもありなんですが、子供にも取っつきやすいように海外(ヨーロッパとか)童話の本などもある。「将(子供)を射んと欲すれば馬(親)を射よ」てな感じで、料理本とか「子供が急に高熱を出したときはどうすれば良いか」などが書いてあるお役立ち情報が載っている本もある。 熊本人みんな大好き加藤清正の本や当時流行っていた夏目漱石の本もある。森鴎外の本は見かけなかったが、あったらあったでその場で大笑いしてたと思います。新聞(現 熊本日日新聞)もとってあって、毎日読みに来た人もいたのではないでしょうか?
北里文庫は内部改装して、所蔵本以外にも博士に関わる展示がずらり。自分的一番の目玉は尊敬する師コッホがアフリカに赤痢調査に行った時の北里への手紙。見た目もいいので郵趣観点でも良いですが、内容が素敵w
現地で赤痢と牛(牛乳や牛肉)との関係が気になったコッホは、当時日本ではあまり牛肉も牛乳も食されていない事を思い出したようで、同じ感染症と戦う仲間として北里に日本での状況を箇条書きでガッツリ問い合わせているという代物。 雷おやじさんがこれに喜ばない訳がありません。実際北里はこの手紙を誰にも見せないくらい大事にしていたそうです。
「これは多くの人にも見てもらうが絶対良い!」と自分も思いましたが、展示パネル引っぺがして(無理そうでしたが)持って帰ろうとしなかった自分の自制心は褒めても良いと思います(笑もう一つの目玉は、北里が愛用したカール・ツァイス(ドイツが誇る顕微鏡の世界的トップブランド)顕微鏡の展示。多分切手のデザインになっている物ではないでしょうか。